世界には「聖書の民」と呼ばれている宗教が3つあり、キリスト教徒20億人、イスラム教徒12億人、ユダヤ教徒1400万人の合わせて32億人ほどになります。(ちなみに仏教徒は3億6000万人。)
ギネスにもぶっちぎりのベストセラーとして君臨する「聖書」。
世界の約半分の人たちが読んでいることになるらしいのですが皆さん読んだことありますか?分厚くて、字が小さくて、難解…割と序盤で挫折しません?笑
しかし中東・ヨーロッパ、アメリカなど、世界は聖書抜きには語れない歴史を歩んでいます。
実は日本でも、勝海舟や西郷どんはじめ、幕末明治に新しい日本を築いた偉人たちが聖書に触れ、影響されていたそうなんです。
なんなんだその世界を動かすパワー?!
宗教云々の前に、「聖書を学ぶことは世界を知る一歩になる。」と自分なりに勉強してみました。
聖書がわかると、学校ではよく分からなかった世界大戦に初めて「なるほど。」と思ったり、現在の世界情勢にハッとしたり…そしてもちろん!古代から現代まで、イスラエルの歴史的、宗教的背景が絵になって見えてくる!
とにかく面白い。
ついでに西洋の小説や映画の「キリスト教知ってる前提」で描かれる部分や、オマージュ、宗教画や音楽に至るまで、世界の見え方が変わって、ますます面白い。
とはいえ、じゃあ読んでみるか。とはならない…
と、いうわけで、
学校の勉強ではいつも平均点以下だった私が、イスラエル旅行するにあたり、知っておくといいかな?と思う聖書の一部をご紹介します。
聖書を読む4つのポイント
聖書の神様はひとりだけ
世界を創った神こそ、唯一の神。
その神を証しする民がイスラエル民族であり、彼らこそが聖書を守り伝えてきました。
「神はひとつ」これが聖書の超基本。八百万の神々のいる日本と大きく違うところですよね。
「一神教」と聞くとどうしても排他的なイメージがありますが、聖書が一貫して教えるのは「神を愛し、人を愛するということ」相手に対する尊敬と敬意を表すことのようです。
様々なルール(律法)を神がイスラエル民族に与えるのですが、どれも絶対的な独裁のルールではなく、世界と人に優しくあるためのもの。
宗教…と言うよりは、「神のいる世界」「神のいる社会」の生き方といった印象。
契約社会である
聖書の世界は、天地万物を作った創造主なる神と、土地や人間が契約をします。
その「契約内容」について聖書は書かれている。という視点で読むとちょっと分かりやすいかも。
今のイスラエルの民は「契約の民」とされていて、神と契約を結んだ一族。
その契約の細かな内容は時代に合わせて何度か更新されていますが、大筋は変わりません。
中でも特徴的なのは、その契約や約束を守れず、失敗を繰り返すユダヤの王や民たちのダメっぷりがしっかり記されていること。笑
古代の王たちの碑文って、嘘か本当か王を褒め称える美辞麗句が並ぶものですが…聖書のこういうところがなかなかに人間臭くて面白い。
世界の始まりと終わりが記されている
進化論ではなく、創造論です。
日本では義務教育の教科書で進化論を習うので、大半がそんなバカな…と都市伝説扱いするんですが、米国では半数以上が創造論者なんです。
ちゃんと聞いてみると、創造論も説得力があったりなかったり、科学の世界も不確かな信仰で成り立っていたりして、目から鱗です。
科学 VS 神 の世界がバチバチで最高に面白い!
しかも、全世界500万部を売り上げている「サピエンス全史」もエルサレムにあるヘブライ大学の教授が書いている…この国には創造論と進化論の最先端があります。
もう一つの特徴は、預言書。
1900年の時を超えて復活したイスラエルの建国についてや、トルコ、イラン、ロシアの三国同盟も預言されていたりと、近代のことまで聖書の預言書に記されていること。なかなかにロマンのニオイが漂っています。
その聖書に”世界の終わり”についても記されてあるらしいのです。
世界には始まりと終わりがある。それが聖書のメッセージの一つなのかも。
舞台が今のイスラエル周辺、中近東である
今のイスラエルは、聖書の中でちょうど「約束の地」と書かれてある場所で、神が、神の民に与えると約束した地。
当時の文化的、地理的、倫理的背景は中東なので、日本人の我々にはなかなか誤解しやすい読み物だと思われます。
しかも、聖書のほとんどが日本が生まれるはるか昔のこと。キリストの時代にやっと日本では稲作が浸透し、国家が現れます。それでも卑弥呼の200年前。
そう思うと、イスラエル考古学の遺跡や研究の凄さにびっくりするはず!
それぞれの宗教にとっての聖書
同じ聖書の民であるのに、結構違う3宗教。複雑すぎます。
今の所の印象ではそれぞれが、真剣に神の前に正しくあろうとしているようですが、その倫理観は日本のそれとは月とすっぽん。
ユダヤ教
最初に「聖書」ヘブライ語では「タナハ」と呼ばれるものを生み出したユダヤ教。
その歴史は5000年を超えるとされ、聖書の民の根っこ。
トーラーと呼ばれる「モーセ5書」を中心に24巻からなる巻物を代々命がけで守ってきました。
神の定めた土曜日を「安息日」(シャバット)として休むのですが、その日は会堂(シナゴーグ)に集まって聖書を朗読し学びます。
1年で一周するように読む順番が決まっており、全世界のユダヤ教徒は毎週同じ箇所を読んでいる。
聖書に書かれている契約を5000年、様々な形で守り続けているとされ、イスラエルでの毎年の祭りも聖書に記述のあるものがほとんど。
キリスト教
キリスト教の歴史は約2000年。
お兄ちゃんであるユダヤ教から見ればとっても若いです。
ユダヤ教の聖書にプラス「新約聖書」と呼ばれる、これまた27巻からなる本が加えられたものを「聖書」と呼び、日本人が普段目にするのはコレ。
イエスはダビデ王の血筋を引くユダヤ人であり、ユダヤ教徒なので、初期のキリスト教徒たちはユダヤ教の一派でした。
その教えも、ユダヤ教の「聖書」に書かれていることであり、新興宗教ではなかったのです。
しかし、当時のユダヤ教の一部の腐敗に対するイエスの厳しい「批判」と「教え」は、ユダヤ教権力者たちに睨まれ十字架で処刑されてしまいます。
ところが、「イエスは3日目に復活し、生き返った。」と目撃した者たちの間で騒ぎとなり、命がけで証言する者たちが次々と現れ、聖書の中に度々出てくる「救世主(メシア)」はイエスのことである!と確信した弟子たちによって書き残され、伝えられたのが「新約聖書」なのです。
そこにはイエスの教えやその当時の記録を書き記したものと、リーダーたちが各地域へ送った手紙、そして終末預言「黙示録」が含まれます。
ちなみにキリストが苗字だと思っていたのですが、キリストは「メシア」の意味で名前じゃなかったというオチ。
イスラム教
歴史は1400年ほど。
3宗教の中で一番新しく若いです。とはいえ日本は飛鳥時代です。
正典はコーランですが、聖書も啓典とされています。(ただし書簡はすべて同じではありません。)
「今ある聖書はユダヤ教、キリスト教によって歪められたものであり、ムハンマドが神から与えられたコーランこそが、その間違いを正し、真実を語っている」という立場。
イスラム教が生まれた頃のキリスト教ですが、ユダヤから離れ、西洋諸国に伝わって少々歪みが生じます。
なぜなら当時のキリスト教徒のほとんどが、聖書の字が読めなかったから!?しかも頑張って訳した内容が致命的誤訳だったり…そんなわけか、血なまぐさい歴史を辿るキリスト教の闇を、ムハンマドは垣間見たのかもしれません…。
そのため、聖書とコーランに記述の違いがあれば、コーランが正しいとされます。
イスラム教の神アッラーは、ユダヤ教、キリスト教と同じ唯一の神ですが、今の聖書の民に対する誤りを糾すのがイスラムの存在であると言います。
最後に・・・
どうでしたか?まだまだ勉強不足で至らない内容だったと思いますが、少しでも興味を持ってもらえたら嬉しいです。
聖書全体は、書かれた時代や作者の違う何冊かの本が合わさっています。その内容は、物語、詩、歴史、預言、知恵文学などバラバラ。
なのに一つであるらしい。
ここがなかなかロジックだけでは理解ができないところ…。
私の個人的解釈だと、書かれていることの多くが、
「神の創った世界を神のよしとする世界として、人間が賢く管理し治めるために、どう生きるか?を色々な視点や出来事から学べ」
という内容な気がする。笑
みなさんはどう思いますか?