2022.10.04

イスラエル、静寂と裁きの日「ヨム・キプール」

新年の「ロシュハシャナ」から10日後、イスラエル最大の静寂の日がやってきます。

ユダヤの伝統では、神はロシュハシャナとヨム・キプール(大贖罪日・だいしょくざいび)の間の10日間の間にすべての被造物を裁き、来年、生きるか死ぬかを決定するとされています。なんだか・・・恐い・・・・

ユダヤ教の教えでは、神が正しい者の名前を「いのちの書」に刻み、悪人には死を与えるとされます。

そのため多くのユダヤ人たちはこの10日間、特に祈りと善行、過去の過ちを反省し償いをする期間と考えて行動します。祭りではありますが、命がかかっているとなると遊びじゃありません!真剣そのもの。

宗派によっては40日前からヨムキプールに向けて祈っている人もいるとか。

ヨムキプールは「贖罪の日」という意味です。

約26時間、神への祈りにのみ集中するため、インターネットは使わず、飲食をひかえ、革靴を履かず?!化粧水やクリームを塗ったりもせず?!入浴もせず!!!洗濯もせず!!!!夫婦の営みを避け、水さえ飲まない断食をする人もいます。(守り方は千差万別)

そして、シナゴーグでひたすら赦しを求めて祈りながら一日を過ごすとか…

さて、日本人の私たちが「裁かれる」とか「罪を悔い改める」と聞くと、法律を犯すこと、犯罪者のことを思い浮かべませんか?「私は善良な市民なので、悔い改めは必要ない。」と思いそうですが、聖書の言う「悔い改め」はそうではありません。

この期間、ユダヤ人たちは家族や友人に、「去年1年間、あなたを傷つけたり、悲しい思いをさせていたらごめんなさい」と言い、言われた方も「もちろん許すよ。私のことも許してくれる?」と、互いに言葉をかわします。

「あるべき姿ではない」ことが聖書の「罪」

神が人を作った目的や意図を無視していないか?ということを思いめぐらし、悔い改めるのです。

他人を許しているか?許してもらったか?

自分だけのためにお金や時間を使って生きてはいなかったか?

平和であろうとしたか?

助けを必要としている人を無視しなかったか?

与えられたものに満足し、喜び楽しんだか?

などなどなど・・・・

聖書の教えに耳を傾け、自らの魂に問い、悔い改めのアクションを起こす。国中の人たちが、この悔い改めの期間を祭りとして過ごすなんて!

私もヨムキプールに参加してみました。

驚いたことがいくつか…

・空港は閉まる。信号機も止まる。(昼間もですよ?!そんな馬鹿な!!!!)

・車が本当に一台もいない・・・。

・歩行者天国状態の道路にスケートボードや自転車、おもちゃの車で遊びまわる子ども達で溢れる。

・断食前後の食事が信じられないほど高カロリー。油と糖分しかないのでは?!(日本人の友達は胃がびっくりして吐いていた。)イスラエル人の胃は強い。

例え観光での滞在であったとしても、この日にはタクシーを呼んだり、車を運転したりしないよう、要注意。この日だけは、道路の支配権は子どもたちにあります。笑

夜は、みんなでのんびり西壁までお散歩。不思議な静けさにドキドキしました。

日本のお祭りとは全く違う感覚。

国中が一つになって、まるで土地そのものが悔い改めているかのよう。全身で、全国で、神に向かう民だなぁ・・・・感じたことの無い「畏怖」に言葉が出ません。

この日は撮影をしない日、西壁やシナゴーグではシャッターを切ることはできません。

じゃあここにある写真はなんなのか……知らなくて、うっかり撮っちゃったんです。

でも、誰かに責められることもなく、指摘もされず、気づいたのは翌年。冷たい視線すら感じなかったんです。

ヨムキプールは他人の間違いや、失敗を責めるのではなく、許すこと、そして、自分の在り方を悔い改め、どう生きるかを問うことに関心があるのか。と思いました。他人の失敗や無礼や間違いなんて興味もない。それがこの祭りなのかと理解した時は鳥肌で、これが根っこにあることが、この国の美しさを作っているのかもしれない・・・と思いました。

(※西壁の写真だけは許可されている別日です。)

そんな特別な空気感が漂う時期ですが、交通機関もお店も動いていないので、旅行の日程には注意してください。でも、一度は体験して欲しいなぁ。