2020.03.11

注意!西岸地区へ訪問する前に必ずチェック!

アラブの活気溢れる街々の魅力は、愛くるしいアラブ人たちの笑顔。

そして観光客に対して心からの、来てくれてありがとう「Welcome!」を次々と浴びせられる瞬間。

イスラムの街の温かさと、明るさ、敬虔さ、中東らしい雑多な雰囲気・・・美味しいものや名産品の数々に出会えば、心掴まれることは間違いなし。

アラブ人は非常にフレンドリーですぐに友達になり、家に招いてくれることもあります。礼を失せず、ぜひ仲良くなってください。

ただし、日本やイスラエルといった民主主義国家のもつ倫理観や、常識のまま入ることは危険です。

「知らなかった」では済まされない問題に巻き込まれないためにも、ここへ訪れる時にはガイドや現地の友人に同伴してもらい、自分たちだけで行かないように

西岸地区の注意点

渡航の際は「自己責任」を肝に命じて、慎重に行ってください。

以下に思いつく限りのアドバイスを書き記しておきますが、一部です。

たとえガイドや同行者がいたとしても、全ての言動に責任を持ってください

事前準備

アラブ語(パレスチナ方言)がメインで英語では通じないことが多いです。

Wi-Fiが入らない!なんてこともあるので、対策が必要。

道行く人に尋ねる場合は、数人に聞くこと。

情勢によっては治安が悪化する可能性もあるので、最新の安全情報を現地で常に確認してください。

イスラエルのレンタカーで入らないよう注意してください。

保険は一切効きません。

イスラエルナンバーの車は見ればすぐにわかります。

私はイスラエル国内でアラブの町の付近を走行中、過激なアラブ人に車を当て逃げされたことがあります。

かすり傷程度でしたが、肝を冷やしました。

持ち物

西岸地区の出入りにはパスポートが必須です!

入国の際にもらう青い入国証の紙切れは、見た目に反してかなり重要なものです。

無くさないよう必ず持ち歩いてください。忘れたら戻って来られないです・・・。

持ち物としておすすめしたいのは除菌ティッシュと、下痢どめ等の薬、トイレットペーパーひと玉です。

衛生面は要注意。お腹が痛くなった人を何人か見ています。

肉料理はきちんと焼けているか、生のチーズに関してはお腹に自信があっても気をつけてください。水はペットボトルのものを飲むことを勧めます。

紙幣はイスラエルのシェケルです。

その他注意事項

「イスラエル」という国の存在を認めず、そのワードを口にしない人たちもいます。

民主国家ではありませんので、言論の自由を振りかざし「I love ISRAEL」などと書いたお土産のTシャツ等を着ていくなんて、ただの挑発行為としか取られません。

イスラエル国旗や、イスラエル軍のマークのものなど、身につけるものには十分に注意と配慮が必要です

また、女性だけでの渡航はしないでください。

女性が男性に声をかけられる場合は絶対についていってはいけません。

男女の権利等についても日本やイスラエルの常識とは違います。

よくわからない荷物を託けられたり、イスラエルまで送ってほしい・・・など、テロや犯罪に使われることのないよう気をつけてください。

万が一暴動やデモに遭遇することがあった場合、決して撮影などせず速やかにその場を離れてください。以前、そのような旅行者が撃たれたと聞いています。

イスラエル出国時に、空港で西岸地区へ行ったことをわざわざ言うと、別室での取り調べもあり得ます。

パレスチナにはイスラエルを亡き者にしようとする過激派の多い地域であるため、警戒レベルが最も高い場所だということを知ってください。

単に観光目的であるなら、伝えるのはイスラエルの地名だけで十分です。

逆に、出国時「I LOVE PALESTINE」のTシャツも・・・いくら民主国家イスラエルでもどうでしょうか?

繊細な問題ですので、ふざけるのはリスクが高すぎます。

パレスチナ問題について

イスラエルとパレスチナの関係について、多くの記事が誤解と偏見、無理解、嘘に塗れていることをぜひ知っていただきたいです。

この問題の真実はネットにはなく、答える人、書く人、語る人によって変わります。

長い歴史と宗教、異なる倫理観が複雑に絡みあっていて、にわか知識では決して理解することはできません。

見えているものはほんの一角で、見えていない部分が非常に複雑なのです。(今書いている私も例外ではありません。)

現地の人たちでさえ、憎悪教育や互いの交流がないゆえにひどくお互いを嫌い合う人たちもいて、「自分たちこそが正しい!」と双方が主張しています。(※互いの無理解を乗り越えようとしている人たちもいます)

私は4年間、様々な意見を聞いてきましたが、日本人である私が誰かの肩を持って、こっちが正しい!と裁くことはできないと感じています。

そして、むしろ外野の私たちの意見こそが、状況をさらに複雑にしているようにも感じます。

歴史の事実として語られる有名な事件でさえ、それぞれの真実が大きく食い違います。

なので相手側の主張を尊重せず、どちらか一方の肩を持つような意見については、全て「一方向からの見解」であり、その人にとっては正しくとも、他ではそうでないかもしれないという発想をどうか忘れずに、イスラエルとパレスチナ問題の複雑さに触れていただけたらと思います。

私たちはこの土地で生きる全ての人たちが、尊重しあい、共に生きていくことを願いますが、今、彼らは困難な旅路の途中です。

旅行者がその妨害となったり、どちらかを裁くのではなく、その生き方から学び、より充実した旅となることを祈っています。

憎しみではなく、赦しが、反発ではなく尊重が、攻撃ではなく癒しが、同調ではなく理解がありますように。

最後に・・・

今日、私が自由に観光できるほどの「平和」と「安全」がこの地域にある事実と、信頼を培ってきた日本のパスポートを持っていることに、私は非常に感謝しています。