2021.12.16

1800年前に失われた言語が復活?!奇跡の言語「ヘブライ語」

人類史初!!奇跡の言語「ヘブライ語」

イスラエルでは英語もよーーく通じますが、

母国語として聞こえてくるのは「ヘブライ語」です。

のどの奥を使って発声する「喉音」と呼ばれる独特の音が混じっているヘブライ語を、大人も子供もものすごい早さででまくし立て、たわい無い会話も喧嘩も、テレビもラジオもバスの中でも、国中にヘブライ語が溢れています。

お母さんを呼ぶ声、路上に響く歌、愛を語り、喧嘩し、神を讃え、学び・・・

この心地よい言葉が、今、この国に生きていることに、私はもはや涙せずにはおれません。

なぜなら私たちがイスラエルで耳にする「ヘブライ語」は奇跡の存在なんです!!!!

現代ヘブライ語の父、ベン・イェフダ

ここはエルサレムにあるベン・イェフダ通り。

お土産やさんなどが並ぶ賑やかな通りですが、この通りの名前になっているユダヤ人男性を紹介させてください。(写真内の壁面にアートされている顔の人物です)

「イスラエル」という国が影も形もなくなって、ユダヤ人の国なんて夢のまた夢・・・多くの人が不可能と思っていた時代。

「ユダヤ人国家が生まれ、イスラエルが建国されるのなら、その国の言語は「ヘブライ語」でなければならない!」

と言い出した「大バカ者」が一人おりました。

その名もエリエゼル・ベン・イェフダー

なぜ大バカ者と紹介するのか?

ヘブライ語は西暦200年(今から約1800年前)ごろには死語となっていて、日常会話としては誰も話しておらず、聖書と宗教的な祈りの中に首の皮一枚で存在しているような言語だったので、ヘブライ語を日常で話せる人などいませんでした。

当時、ユダヤ人はそれぞれ散った国であらゆる言語を話していて、イスラエルの地域にいたユダヤ人たちでさえ、別々の言語を話していました。

なのでわざわざヘブライ語を覚え直して、日常生活で使うなんてバカバカしく、想像するだけで気が遠くなることだったのです。

しかも、自分だけ・・・・ではなく、まだ存在もしない、できるかもわからない国の国民全員の公用語とするなんて!

あまりにも途方の無い絵空事でした。

もう一度言いますが、この時はまだ、建国すらありえないことで、ユダヤ人の国なんてものは無いのです。

しかも1800年も前に死んだ言葉。

日本で例えるなら、平安時代の言葉を現代の母国語に復活させようとするようなもの。無謀すぎますよね(笑)

ヘブライ語を使っていた当時には無かった新しい物や概念で溢れている今の世界に、古代語を復活させるということは、新しい言葉も生み出し、浸透させるということです。

彼はエルサレムに移り住み、自分の妻に家の中でのヘブライ語以外の使用を禁止します。(は?)

産まれてくる子供にはヘブライ語以外聞かせない。(え?)

ヘブライ語を話せない人には子供達にすら話しかけない。(ん?)

頭・・・おかしいでしょ。狂気すら感じます。

さらに、家族で今日はパン1つというような経済状況で、新聞社を立ち上げ、駆けずり回って資金を集めながら、尋常で無いエネルギーをかけて毎週の編集・発行を行います。他にも、ヘブライ語での教育をするための教科書作成や、膨大な語彙を示すヘブライ語辞典の編纂の凄まじさは恐怖すら感じます。

決して健康面に恵まれておらず、持病を抱えながらの活動です。文字通り、彼のヘブライ語復活にかける情熱は、命を削った働きでした。

この言語はユダヤ人にとって神聖な言葉・・・単なる公用語としての復活だけでなく、それぞれの地に離散し逸れた民族が一つとなるための、文化とアイデンティティの復活をも意味していました。

だからこそ、この男は適当な仕事を嫌い、1単語さえ妥協せず、死の瞬間まで調べ続け、たとえ欠片でもヘブライ語の情あれば世界中から収集し、それを系統立て、新語を生み出し、文字通り命懸けで現代ヘブライ語を美しく確立させました。

1分1秒を惜しんでヘブライ語研究と普及に尽力した彼の書斎に椅子はなく、何十時間も立って作業をするための、専用の机がありました。

途方もない夢を現実にすると信じて、未来のために命を削って追い続けた人、それがベン・イエフダーです。

大病を患いながらヘブライ語復活のために1日18時間働き続ける驚異の執念・・・彼の生き様には震えます。

ベン・イエフダーの人生についてはこの本「ヘブライ語の父ベン・イェフダー」がおすすめ。

可能性がなさそうな道を、逆境と敵の妨害の中、振り切って振り切って気が狂ったようにつき進んでいく姿。

実現不可能な夢に対する情熱を、どのように維持していたのか?を体験する1冊です。そして、彼をそこまで奮い立たせた「ヘブライ語」の魅力にも興味を持っていただけたら嬉しい。

さて、彼の無謀な挑戦の結果はどうなったのか・・・・

私たちは現代イスラエルで彼の夢の続きを目の当たりにできます。

国家樹立の奇跡も、死海文書発見の奇跡も、ヘブライ語復活の奇跡も・・・

イスラエルという国を見る時、この国に働いている力はなんなんだ?!?!と叫びたくなります。

2000年前の古代語が現代に生き返るという、人類史上初の奇跡の言語。

イスラエルに来たら、ユダヤ民族の母国語ヘブライ語にも注目して欲しいです。