2023.05.25

3大祭りにしては影薄い?「シャブオット」

「シャブオット」って何のお祭り?

近代は、乳製品を食べてお祝いする風習のあるイスラエル。

「チーズケーキを食べる日」と、なんだかぼんやりイメージしている人も多いのですが、ユダヤの歴史上、実はかなり重要なお祭りです。

ただ、あまりにも広大無辺で、説明するには一部分を切り取るしかなく、捉え難いのです。

この祭りは代々受け継がれながら世代を越えて祝われている祭り。

イスラエルがイスラエルであることの根幹に触れる祭りという感じがします。

いくつかシャブオットのイメージを並べてみます。

・「7週の祭り」とか「五巡節」ともいう

・三大祭りの一つ

・乳製品を食べる祭り(チーズケーキ万歳)

・ルツ記を読む(何それ。)

・徹夜で聖書の勉強をする祭り(突然の嫌な予感)

・イスラエルの核「トーラー(神の教え)」をシナイ山で授与された日とされる

・小麦の収穫祭

・女の子たちが花冠つけていて可愛い

・白い服をきる

乳製品に埋もれるシャブオット。

大好きなチーズとワインを頬張りながら、何で現代では「乳製品の祭り」になっているの?という質問に、いろいろな答えが返って来ました。中でも気に入ったのが

「トーラーを神様に貰った当日、食事をしながら祝いたいのだけれど、肉に関する食物規定があり過ぎてめんどくさい。とりあえず今日は乳製品で祝おう。」というもの。笑

とんちの効いたユダヤジョークが大好きです。

チーズ!ミルク!クリーム!乳製品の祭りかと勘違いしそうなシャブオットの食卓。季節のフルーツも溢れんばかりに並び、それに合わせてイスラエルのフルーティな白ワインがおすすめです。

また、イスラエルで本を買うならこの季節。

空き地に突然現れる巨大な青空BOOKマーケットなど、ここぞとばかりに値下げしたお買い得な本が山積み!ヘブライ語が読めなくても、子供用の絵本や美しい写真集などを楽しめます。

果たしてなんでこの時期に本のフェスティバルをするのか??後半へ続きます…

7週の祭りとか五巡節(ごじゅんせつ)ともいう

それは日本語ですか?という感じですが、

エジプトの地から救われた「過ぎ越しの祭り」(ペサハ)から数えて7週目(50日目)に祝うための異名ですね。(数え方がちょっとややこしいのでだいたいで・・・)

他にもギリシャ語の「50」にちなんだ「ペンテコステ」や、ヘブライ語では「ハグ ビクリーム」とか「ハカツィールの祭」などとも呼ぶらしいです。

名前ありすぎるせいでぼやけるから統一してほしい。と思ってしまいますが、奥深さの所以。仕方がない。笑

過越しの祭り(ペサハ)と仮庵の祭り(スコット)と共にイスラエル三大祭りの一つ

それはもう盛大に祝うんだと思っていたんですが、

住んでみた私の印象では「乳製品を家で食べまくる日」とゆう印象。

何の日なんだ?と3年くらい疑問でした。

チーズは大好きなのでイスラエルのチーズ!チーズ!チーズ!には大興奮で、あまり深く考えていなかっただけかも・・・(イスラエルのチーズ美味しいですよ!)

徹夜で聖書の勉強をする祭り

そう。たっぷりのチーズとワインをいただいて、ぐっすり眠りこけている深夜にこそ、祭りが行われていたのです。

気がつかなかった!!!←(食いしん坊)

ユダヤ教ではトーラーの巻物(聖書・教えの巻物)を神がユダヤ人に与えた日だとされるので、各シナゴーグ(ユダヤ教の会堂)で夜通し聖書勉強会が行われており、皆シナゴーグのハシゴをして、色々なラビ(教えの指導者)の話を聞いたり、議論をしたり、西壁で学んだりしているんです。

古代の昔から世代を越えて聖書研究をし続けている民!このすごさわかりますか?数千年と言う時間を使ってなお達することのできない深淵さが聖書の魅力。

「徹夜で勉強をする日」と言うと、日本ではテストのためってイメージがあるかもしれませんが、彼らにとってこれこそが「命」なのです。

誰でも参加可能だそうなので、男性はキッパを被って、女性は露出を避けて深夜のシナゴーグへ行ってみては?

イスラエルの「勉強」は日本と違うので驚くかも。

冒頭の本屋が増える謎は、このトーラーを愛し、学びを愛する祭りとしての姿かもしれません。

小麦の収穫祭

シャブオットはイスラエルの畑が黄金に色づく季節でもあります。

北部の麦畑は圧巻。昔はこの収穫の喜びを神に感謝し、エルサレムの聖なる神殿に、小麦、大麦、ブドウ、イチジク、ザクロ、オリーブ、ナツメヤシの7種の供え物を持っていくのがシャブオットでした。

聖書の中にある美しいストーリー「ルツ記」はこの収穫の季節の物語です。

ルツと言う外国人女性が、イスラエルの麦畑で落穂拾いをしているときに、ユダヤ人ボアズと出会い結ばれる物語。

悲劇で始まるのですが、深い絶望と困窮の中、外国人ルツの見返りを求めない勇気と愛と誠実で勇猛果敢な行いが描かれ、力強く生きる女性が主人公という古代では珍しい短編。

回復と、愛がテーマで、最後にはダビデ王の祖母となる逆転のストーリーでもあります。

シャブオットにはこのルツの生涯から学ぶのだとか。

ユダヤ人が外国人ルツから聖書の生き方を学んでいるとも言えるので面白い現象でしょう?

最後に・・・

私たち外国人も、ちょっと聖書の世界を学んでみたいかも。世界が広がるかもしれません。

イスラエルの「お祭り」には喜び、や楽しみが溢れていますが、私たちの考える「飲めや歌えや」のお祭りの騒ぎとは何だか違うものを感じます。

勉強したり、学ぶことを祭りとしてこんなに楽しんでいるなんて・・・!!!!